ギターの常識は世間の非常識?-弦を押さえ替える際の注意-

ある特定の世界では常識でも、一般的には非常識と捉えられる事はたくさんあります。もちろん、ギターにも当てはまります。

僕には気になって仕方がないことがあります。それは、ギターを弾く人の中には、鳴らしてはいけない音(楽譜に指定されていない音やコード構成音以外の音)を出しても、気にしない人が意外に多いことです。

多くの場合、弦を押さえ替えることを優先して左手を早く離し、右手は演奏を続けることが原因です。他の楽器(リュートやウクレレなどの撥弦楽器を除く)でこんなことは許されません。
※もっとも、他楽器では音を外すか、わざと違う音を弾かない限り起こり得ません。

特に、アコースティックギター奏者、特に弾き語りをしているアーティストに目立ちます。CDなどの録音時には丁寧に弾いていても、生演奏、特に歌いながら演奏する場合はきちんとできているアーティストを探す方が難しいです。ライブを聞きに行った時、このような演奏が続くとイライラして音楽に集中できなくなってしまいます。

アーティストはそれを理解した上でやっている(「客はそんなところまで聞いていない」と考えている)のか、あるいは長年の癖で気づかなくなっているのかは、不明です。いずれにしても、有名プロがやっているからといって、このまま済ませてはいけない問題だと思います。

J-POPアーティストの実例を出そうかと思いましたが、譜面を示すことは著作権を侵害することになるので、「愛のロマンス」(「禁じられた遊び」)を例に、簡単に説明します。

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18小節目(写真の右側の小節)最後の音(3弦1フレットG#)を弾かなければならないのですが、押弦している人差し指を離して3弦開放弦を鳴らすことが、これに当てはまります。次に押さえるB7sus4コードフォーム(人差し指で2フレットセーハ、2弦5フレット-小指、4弦4フレット-薬指)が難しいからといって、3弦1フレット人差し指を早く離してはいけません。

楽譜に記載されていないものの、18小節目のコードはEメジャーです(構成音はE、G#、B)。3弦1フレットを早く離し、3弦開放弦を弾くとGナチュラルが鳴ります。もちろん、これはコードの構成音には含まれていない音なので、響きが濁ってしまいます。

ストロークの場合はコード構成音ではない音がいくつも鳴ることがあるので、さらに違和感が大きくなります。弦から指を離すことをもう少し我慢して、素早く押さえ替えることができるように訓練すれば良いだけの話です。

CDやライブで音楽を聴く際に、コードが変わる少し前の音が綺麗になっているかを注意深く聞いてみてください(CDを聴く場合は、ヘッドホンを使用すると聞き取りやすいです)。また、練習時から自分の出す音をよく聞き、注意深く押さえ替えをして、譜面に指定されている音をきちんと弾くことを心がけたいものです。